プライベートレッスン セイリオスは真剣な面持ちで扉の前に立ち、言葉を呟いた。 ピシッ 目の前の空間が弾けたような音を立てた。扉には変わった様子はない。 セイリオスは何事もなかったかのように扉を開け、中へと入る。 そこには成績は優秀だが門限をやぶって街へ繰りだし騒ぎを起こした男が大人しく謹慎しているはずだった。 「シオン」 魔法研究院に入ってから知り合った、不遜な友人の名を呼ぶ。謹慎して1週間。そろそろ反省の言葉が返ってくるはずだ。 しかし、返ってきたのは 「セ、セイリオス殿下!!??」 「?」 聞き覚えのある男の声ではなかった。 その後続いてため息と 「〜〜なんて間の悪い・・・」 批判の呟き。 目の前の状態がどうにも理解できない。 男が二人、ソファーの上、裸で抱き合っている。 上になっている男は先程自分の名を呼んだ者だろう。見知った者ではない。とても驚いた顔をしている。 もう一人はこの部屋に閉じこめられている男、シオンだ。 「?!」 間をおいて、うといセイリオスでも何をやっていたのか察しがついてきた。と同時にシオンを組み敷いていた男が自分の衣服らしい布を抱き脱兎のごとく部屋から出ていく音がした。 「な、何をしてるんだ!!??」 ソファーに横になっている男を怒鳴る。 「何って・・・いくらなんでもおわかりになるでしょう?」 裸のまま気怠げに肘を立て上半身を起こし何事もないかの様にシオンは答えた。 顔だけ見ていればいつもの男と変わりない。目上の者に対しての丁寧な言葉使いもその態度と一緒に出てくると嫌みにしか聞こえない。 しかしそのまま目を下にずらすと、首筋から胸元へと点々と赤い痕が続いており熱でうっすらと上気した躰は先程まで快楽におぼれていたのがはっきりとわかる。 「・・・一体どうゆう事なんだっ!?」 シオンのそんな姿を初めて見たセイリオスは赤くなりながら怒鳴った。 「どうゆう事って・・・見りゃわかるでしょう。セイリオス殿下。 子供じゃあるまいし。ああ、男同士のセックスは初めてですか。ったく、いいところだったのに。どうしてくれるんです。」 責められるの男は開き直って、自分より目上の貴人に平気でこんな態度をする。 考えてみれば、はじめて会った時からこの男はそうだった。値踏みするような目で自分を見て、試すように言葉を投げかけてくる。自分の反応を知ろうかとするように。 そんなシオンは、セイリオスにとっていつの間にか唯一の砕けた話が出来る友人になっていた。 しかし、一見砕けた性格のように見えるシオンは自分に対して線を引いて接してるのを感じていた。それは変に丁寧な言葉使いにも現れている。そしてそれは自分が「皇太子」である限り変えられない物だとセイリオスは思っていた。 「〜〜〜ちょっと待て!君は今謹慎中で、扉には出入りできないように結界魔法が掛かってたはずだぞ!それにあの男は誰だ!?」 きれいな眉の間にしわを寄せ、シオンに詰め寄る。 「ああ、あいつは俺の食事係だから結界を通れる魔法具を身につけてるんです。 と言ってもあの程度の結界はもうクリヤー済みですけどね。」 シオンは小馬鹿にしたようにセイリオスを上目遣いに見て面倒くさそうに答えた。 「今回は長老達に殿下が加わっての謹慎だったから大人しくしてましたが、いいかげん欲求不満で」 そう、いいかげんシオンの夜遊びに辟易したセイリオスは事件が起きたことを良いことに研究院の長老達に強く進言したのだ。成績優秀、品行最悪、院の問題児のシオンを腫れ物のように扱っていた長老も嬉々としてそれを受け入れた。 血管が切れそうなセイリオスに反して、のほほんとシオンは答える。 「だからまあ、ね。女の代わり。」 セイリオスをからかうように、シオンはにやりと笑った。 「〜〜〜っ。君が組み敷かれてた様に見えたが」 あまりの態度にセイリオスは見当違いな突っ込みをする。 「まあ、男同士だから逆もあり」 「男としてのプライドはないのか」 「気持ちいいのは嫌いじゃないから気にしませんよ」 「女が好きじゃなかったのか?」 謹慎の原因は、確か女性関係の騒ぎだったはず。もしや男関係だったのか?と疑問が浮かぶ。 「気持ちよければどちらでも」 「・・・・・」 あまりの言いように怒りを忘れセイリオスの力ががくっと抜けた。 「殿下、ちょっとこちらへ・・・」 疑問も持たずにセイリオスはシオンに近づいた。 「わっ」 突然腕を引き寄せられベットに倒され、上からシオンが覆い被さってくる。 「でね、いいところで邪魔されたんで、責任とっていただけませんか?」 口調は丁寧だが、長身のシオンに押さえつけられてセイリオスは身動き一つ取れない。 「せ、責任って・・・んっ!・・・」 セイリオスの是非を聞かず、シオンはセイリオスの唇に自分のそれを重ねる。 唇に舌を滑り込ませ、歯列を割ってセイリオスの舌を探すように口腔を犯す。 目当ての舌を捕まえると絡め取る様に吸った。 「・・・んっ・・」 なま暖かい舌の感触に背筋に電流が走る。 その感覚から逃れようと頭を振るが、押しつけられた唇が後を追ってきて逃がしてくれない。 さらに激しく舌が口腔内を掻き回し、新たな感覚がセイリオスの頭を熱くした。 セイリオスが激しい口づけに息苦しさと快感で目眩を感じ始めた頃、シオンが離れ耳へそっと囁いた。 「元はと言えば、長老達に密告したのはあなたでしたものね。自分がまいた種だと思って大人しくしてください」 耳元での囁きが、少し遠くに聞こえる。目は潤んで頭の中が熱で一杯になってしまっている。 「殿下?まさかキス、初めてなワケじゃないですよね?」 セイリオスの拒絶を予想していたシオンがこの様子に思わず訊ねる。 「・・・違う・・・けど、こんなのは・・・・・したことない・・・」 息が上がっている。セイリオスはやっとの思いで切れ切れに言葉を紡いだ。 そういえばーとシオンはあることに思い当たる。 貴族のお坊ちゃんは「男」になる頃女性の扱いについて一通りレクチャーされる。 だが相手の女は人形のようにされるままで、シオンのように積極的に快感を与えてくれたりしない。皇太子なら尚更刺激は与えられないだろう。 大人びているとはいえセイリオスはまだ青年とも言えない年頃。だったら快楽に反抗する術はない。 「・・・・・・気持ちよくして差し上げますよ」 シオンは言い、優しくセイリオスの頬を撫でる。 その顔に暗い微笑みが見えたと思ったのは一瞬のことだった。 もう一度軽く唇が触れる。 シオンはついばむようなキスをしながら器用にセイリオスの服のボタンを外していく。 セイリオスは唇への優しい感触に集中しているのか、シオンにされるままになっていた。 唇、首筋、そして露わになった鎖骨へとキスが降りていく。セイリオスの口からかすかなため息がでる。 そして胸の突起をなめ上げる。 「あっ!・・・」 セイリオスの躰がびくんと震えた。 「いいでしょう?」 言葉に反応して目を向けると上目遣いのシオンと目が合ってしまった。 とたんに何をされているか思い出したセイリオスは耳まで赤くなる シオンは気にせず、セイリオスに見せつけるように胸の愛撫を続けた。 恥辱からセイリオスは躰をよじってその作業から抜け出そうとするがうまく力が入らない。 結果シオンの腕に簡単に押さえ込まれてしまっていた。 胸の突起を弄ばれセイリオスはまた快感の波に飲まれていった。 シオンの舌は徐々に下半身へと移動していく。 それに従うようにセイリオスの熱は下半身へ集中していった。 その熱へシオンの手が触れる。 「っ・・・ぁ!」 初めての感触に思わず声が上がる。 根本の部分から上へ軽く撫でられるだけでそれは跳ね上がり、蜜が溢れ出した。 ぺろり 「・・・はっ・・・っ!!な・・・何・・・・?!」 柔らかな感触に与えられた快感に腰を浮かす。 そして先端を舐め上げられるとゆう考えられない動作にセイリオスは驚愕した。 「濡らしてやらないと、俺が痛いんでね。」 セイリオスは意味をつかもうとするが、続けさまに快感を加えられ思考を飛ばした。 くちゅ くちゅ セイリオスのものを舐め上げる水音が響く。 その音に反応するようにセイリオスのものが反応する。 「・・・ぁ・・・あぁ・・・ふぅ・・・・・・・っ」 快感に耐えきれずセイリオスは呻いた。 つとシオンはセイリオスのものから離れ、セイリオスに馬なりになった。 快感が無くなったのに気づきセイリオスは快楽に潤んだ瞳でシオンを見上げる。 シオンも欲望に潤んだ瞳で見つめ返し、セイリオスの堅くなったものを片手で支え、自分の下半身へあてがい、ためらいなく体を沈めはじめた。 「ん・・・ふぁ・・・ぁ・・・」 シオンの呻きが聞こえる。 「・・・っ・・・あ・・・っ!」 シオンがゆっくりと腰を下ろしてくる。それと同時に先ほどまでとは違う感触がセイリオスを包み込んでいった。 セイリオスが邪魔をするまでつかっていたそこはやすやすとセイリオスを中に迎え入れていく。 セイリオスは快感を感じながらその動作に見入っていた。 「・・・あ・・・っああっ・・・」 シオンがすべてを飲み込み、肉壁がセイリオスのものを締め上げる。セイリオスは思わず声を上げた。 「は・・ぁ・・・・・・」 シオンはセイリオスの耳元に自分の顔を近づけ、囁いた。 「どうです?・・・いいでしょう?」 その声と息は熱く、甘い感触をセイリオスに与える。 セイリオスはすでに高まっている射精感にどう対処していいか混乱して答えることが出来なかった。 それに関せず、シオンはセイリオスに口づけをして自分の腰を動かし始める。 くちゅ 繋がっているところから猥褻な音が聞こえた。 「・・・ぁ・・・っ・・・あぁ・・・・・・」 くちゅ くちゅる 「く・・・っ・・・・・・ふぅ・・・・ん」 二人の口から漏れる甘い声と水音が部屋に響いた。 「ぁ・・・シ、オン・・・・・もう・・・!」 しばらくしない内に我慢しきれくなったセイリオスが限界の声を上げる。 「・・・ん、俺も・・・・・・・いける・・・ん!」 瞬間中に放たれた熱い液体を感じながら、シオンもセイリオスの腹に自分の熱を放出した。 セイリオスが気づいたときには服ははだけていたが躰は清められ、ソファーに横たわっていた。 シオンは足下で服を躰に掛けくつろいでいる。 「・・・っ!」 先ほどの乱れた自分を思いだし、セイリオスは服を着ようとあわてて起きあがった。 「もうちょっと休まれたらいかがです?まだ日も高い」 まだ戻らなくてもいいでしょう?そう言いたげに男はにやりと口の端を上げセイリオスを覗き込む。 肌を合わせたとゆうのに口調はいつもと変わらない。セイリオスはそんなシオンを軽く睨み付けた。 それを照れだと取ったのか、 「なかなか良かったですよ。セイリオス殿下」 まるで女にするように、服をつかんでいたセイリオスの手を取り甲に口づけた。 びくん 口づけられたところからまた熱が沸き上がってくる。 この男との快楽に嫌悪感はなかった。それどころかまだ欲望が立ち上がってくる。 だのに・・・このままでは先程の男と、シオンの欲望のはけ口になっている女達と同じになってしまう。 「・・・・・・セイル、だ」 再び熱に呑みこまれそうな感覚と、突然出てきた思いに陥りながらやっとのことでセイリオスは言葉を絞り出した。 今まで引かれていた線を少し越えられたと感じたセイリオスには、シオンの変わらない態度は少し寂しかった。「立場」はわかっているのに・・・・・・。 不可解なものを見るようにシオンはセイリオスを見つめていた。 いつも全てを知っているような顔をしている男のこんな表情を見るのは初めてだった。 「セイル・・・と」 呼んで欲しい。シオンには。「皇太子」ではなく、一人の人間として。 今度は理解したようにシオンの目は優しくなった。 この表情にセイリオスの鼓動は高まる。しかしその訳など知らない。 「セイル」 甘い声が名前を呼ぶ。先ほどまでの皮肉の音は混ざっていなかった。 「・・・・・・お前、かわいいな」 「!!な、なにを!!馬鹿にしてるのかっ?!!」 予想しなかった言葉にセイリオスは真っ赤になり怒鳴った。 そんなセイリオスに構わず、シオンはセイリオスを抱きしめ、キスをする。 「よーし、今度は俺がやってやるから、今日は泊まってけよ。寝かさないからv」 「ーーーーーーーっ!!」 セイリオスの悲鳴は結界によって外には全く聞こえることはなかった。 |
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SS初書き、セイル×シオン(一応)です。偽物です。すみません(汗 この後セイリオス犯られてます。合掌。シオンはセイリオスが「よかったわv」と言ったと解釈したのかと(爆 エロ&セイリオスの気持ちを出そうと思ったんですが未消化です。色っぽくない文章ですいません。最後まとまってないし。 あまりに強引な展開なんで後で書き直すかも。 「かわいい」と言われ怒るなんてまるでどっかの王子だわ |